研究課題
[方法](1)胃癌細胞株AZL5Gをヌードマウス胃壁に同所性に移植すると6週間で所属リンパ節に転移する。このマウスに抗VEGFR3抗体を3日毎に全身投与して、リンパ節転移を抑制するかどうか調べた。(2)ヒトpodoplaninのFcキメラタンパクの発現ベクターを作成し、293細胞を用いてタンパクを精製した。それを抗原としてマウスを免疫し、モノクローナル抗体を作成した。ELISA、免疫染色、FACSに使用できるものを検索した。[結果]抗VEGFR3によってリンパ節転移が阻止された。AZL5Gは親株と比較しVEGF-Cの発現が高く、腫瘍内リンパ管数は33.3±5.6/視野で、ヒト胃がんのリンパ節転移陽性例に相当した。抗VEGFR3抗体投与群では、10.5±1.5/視野に低下した。リンパ節転移はコントロール群が75%に対し、抗VEGFR3群では19%に低下した。原発腫瘍の重量と血管数には差が認められなかった。ヒトpodoplaninに対するモノクローナル抗体を作成した。ELISAにて、24個のクローンを得た。その中から、免疫染色、FACSに使用できるクローン7B10を同定した。7B10抗体によって、LECが免疫染色されている図を示す。7B10にAPCを付加した7B10-APCを用いたFACS解析で、podoplanin発現株が区分できた。[考察]抗VEGFR3抗体によってリンパ管新生が抑制され、結果としてリンパ節転移を阻止する可能性がマウス実験で確かめられた。今後、この治療法の別の薬剤の可能性を探り、実際の治療法としての確立にむけた努力が必要となる。また、抗podoplanin抗体を用いて、腫瘍組織から腫瘍LECを分離培養する。遺伝子発現プロファイルから、腫瘍LECに特異的な遺伝子を同定した。
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