研究概要 |
本研究は,肝がんの遺伝子治療のための人工遺伝子デリバリーシステムの開発を行い、将来の臨床試験導入を目的とした.平成16年度は,オクタアルギニン(R8)修飾エンベロープ型ナノ構造体の構築と機能評価及びトランスフェリン(Tf)修飾エンベロープ型ナノ構造体の構築と機能評価を行った。さらに、ウサギ肝がんモデルの構築を行った。 1)R8修飾リポソームのマウスにおける体内動態:R8修飾リポソームの体内動態をマウスにおいて検討した。その結果、R8修飾リポソームは組織移行クリアランスはコントロールリポソームと比較して、脳(20倍)、腎臓(3倍)、肺(11倍)、肝臓(8倍)著しく促進した。 2)Tf修飾エンベロープ型ナノ構造体の構築と機能評価:トランスフェリン-PEG修飾したMENDは,pH-感受性膜融合ペプチドGALAをコレステロール誘導体及びPEG誘導体の形で導入することにより,相乗的にエンドソーム脱出に成功し,遺伝子発現を促進することに成功した(原島,他:特願2004-205217). 3)Tf修飾エンベロープ型ナノ構造体のマウスにおける機能評価:Tf修飾エンベロープ型ナノ構造体がマウスで遺伝子発現可能か、現在、in vivo image analyzerを用いて検討中である。 4)ウサギ肝がんモデルの構築:ニュージーランド白ウサギの肝左葉にVX2腫瘍を移植後、腹部CTにてリピオドールがVX2腫瘍にのみ集積していることを確認した。さらに、ヒト肝がん細胞株5種類すべてにおいてDNAヘリカーゼの一亜系RecQが強く発現していることを確認し、かつそのsiRNAでRecQの発現が抑制された。以上より、本肝がん遺伝子動注のターゲットになりうることが証明できた。
|