研究課題
平成16年度は血管新生関連酵素に対する阻害活性試験と、マウスES細胞由来Flk1^+細胞からのin vitro血管再構築系による化学遺伝学的手法により、海洋無脊椎動物を対象とした血管新生阻害剤探索とその作用機序解明を行った。この結果、3種の化合物に非常に有望な血管新生阻害活性を認めた。これら3種はそれぞれ、MMP、HDAC、VEGFRのチロシンキナーゼと標的分子が異なることから、本研究によって幅広い作用機構の血管新生阻害剤を見出すことが出来た。このうち、MMP阻害剤として得られた既知化合物avaroneは、その後血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)Flt1のチロシンキナーゼ選択的阻害、HUVECに対する遊走阻害、in vivoでの血管新生阻害、および抗腫瘍活性等の有望な活性が認められたため、血管新生阻害剤として、スクリーニング委員会と共同で出願特許申請を行った。なお、血管新生阻害活性を示す新規MMP阻害剤ageladine Aについてはin vivo抗腫瘍活性をスクリーニング委員会にて検定中である。遺伝子発現に関わる酵素であるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤は血管新生を阻害することが知られている。申請者により単離された新規HDAC阻害剤azumamide Aは、ES細胞を用いた血管再構築系において調べたところ、血管新生を阻害することから、in vivoの血管新生阻害試験を検討中である。
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Marine Drugs 2
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