研究課題/領域番号 |
16023249
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宗 伸明 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (90336008)
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研究分担者 |
片山 佳樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70284528)
今任 稔彦 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50117066)
村田 正治 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30304744)
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キーワード | 蛍光プローブ / 活性酸素種 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / 光誘起電子移動 / ヒドロキシルラジカル / 過酸化水素 / 一酸化窒素 |
研究概要 |
ヒドロキシルラジカル(・OH)蛍光プローブに関しては、開発したデオキシチミジン二量体に二種の蛍光色素を標識したプローブについて、性能を詳細に検討した。その結果、本・OHプローブが・OH発生量に対応して蛍光強度比を変化させること、・OH以外の主要な活性酸素種及びその類縁体に対しては有意な蛍光強度比変化を示さないことが明らかとなり、プローブの良好な・OH検出能と選択性が確認された。更に、アセトキシメチル化を施すことで、本プローブを自発的に細胞内導入できることも明らかとなった。 過酸化水素(H_2O_2)蛍光プローブに関しては、開発したDPPEA-HCの性能を詳細に検討した。その結果、DPPEA-HCがH_2O_2の直接添加あるいは酵素系によるH_2O_2発生に伴い蛍光強度を増大すること、カタラーゼの添加に伴い前述の蛍光増大を直ちに停止することが明らかとなり、DPPEA-HCが良好なH_2O_2検出能を有していることが確認された。更に、DPPEA-HCが既存のH_2O_2プローブであるDCFHと比較して高いH_2O_2選択性と光安定性を有することも確認された。一方、蛍光寿命測定の結果、DPPEA-HCのH_2O_2検出機構が光誘起電子移動のon/offに起因していることも明らかとなった。 一酸化窒素(NO)蛍光プローブに関しては、開発したスピン交換機構に基づくプローブに関する検討を行い、従来と異なる蛍光基標識ニトロキシルラジカルと鉄配位子を用いた検討から、スピン交換機構型NOプローブの設計において様々な蛍光基と鉄配位子が原理的に利用可能であることを見出した。 本研究で開発した上記の活性酸素種計測用蛍光プローブは何れも既存のプローブにない優れた利点を有しており、活性酸素種が関与するがん化のメカニズム解明、更には新規抗がん剤を探索する目的において、有用なツールに成り得ることが期待できると考えられる。
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