研究分担者 |
上田 幹子 京都大学, 医学研究科, 講師 (20322159)
高田 泰次 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10272197)
鶴山 竜昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (00303842)
羽賀 博典 京都大学, 医学研究科, 助手 (10252462)
小川 晃平 京都大学, 医学研究科, 助手 (10359789)
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研究概要 |
1 目的と方法 肝細胞癌に対する肝移植術後の再発に関与する因子の探索を目的として、当院移植外科で1999年以降肝移植を行った成人肝癌症例のうち27例(非再発例17例、再発例10例)について染色体ヘテロ接合性喪失(Loss of Heterozygosity、以下LOHと記す)を検索した。肝移植手術時に得られた摘出肝のホルマリン固定パラフィン包埋組織標本から、マイクロダイセクションを行い、腫瘍部組織と非腫瘍部組織のDNAを得た。得られたDNAを鋳型として7種のマイクロサテライト多型マーカーD1S407,MYCL1,D3S1539,D3S2303,D9S251,D10S520,D17S1289についてPCRを行った。うちD1S407(1p36.21)はCMM近傍、D3S1539(3p26.3)はVHL近傍,D10S520(10q23.31)はPTEN近傍に存在する。マイクロチップ型電気泳動装置でPCR産物を泳動し、LOHを検索した。 2 結果 27例90検体のうち、26例75検体にLOHがみられた。各症例の各検体についてLOHのみられたマーカーの個数を検討した。27例のうち、LOHがあるマーカーの個数が0〜1個の症例が7例、2個以上の症例が20例であった。前者では7例全例で再発がみられず、後者では20例中10例に再発がみられ、有意に再発が多かった(Log rank検定,p=0.026)。また、D17S1289にLOHがみられない症例3例には再発がなく、LOHがある症例16例のうち8例で再発がみられた。D1S407にLOHがみられない5例には再発がなく、LOHがある症例18例のうち8例で再発がみられた。 3 考察と展望 以上の結果では主として肝切除例を対象とした同様の研究と類似した傾向がみられた。今後、予後予測精度を高めるために多くの症例での検討、病期を併せた検討が必要であると考えられた。
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