バーキットリンパ腫(BL)は腺表面免疫グロブリン(sIg)を発現するB細胞由来の悪性リンパ腫であり、熱帯アフリカでは小児腫瘍の頻度第一位である。BLには、アフリカを中心とした好発地域性BL(eBL)と米国、欧州、日本などで起こる散発地域性BL(sBL)の二つの亜群がある。eBLは主にEpstein-Barrウイルス(EBV)陽性でありsBLは主に陰性である。本研究では、これまで記載が不十分であったeBLのIg可変部遺伝子の体細胞突然変異(somatic hypermutaion : SHM)の記載をケニアのEBV陽性eBLのパラフィン包埋された試料を用いて行い、本邦(sBL)のIg可変部遺伝子変異どの比較を行った。ケニアeBLの28例中7例でV_H遺伝子の増幅が可能であった。この7例でIg可変部重鎖(V_H)遺伝子のCDR2領域とFR3領域の解析を行った結果、4例でV_H3ファミリーを、2例でV_H4ファミリーを1例でV_H1ファミリーを使用していた。V_H4ファミリーを使用した2例ではいずれもV_H4-39を使用していた。SHM率は1例を除いて様々な値を示し、平均7.9%であり、本邦sBLの平均4.2%より高いSHM率を示した。また、7例中1例でSHMが全く検出されなかった。一般的にBLではSHMが検出され、ごく稀に、sBLでSHMを全く示さないものが報告されていたが、eBLでも同様にunmutatedのV_H遺伝子を発現する例があることが初めて示唆された。
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