研究概要 |
申請者らは平成14〜15年度の特定領域研究「細胞周期」の「インスリン産生細胞増殖因子Regによる細胞周期調節」で、Reg蛋白質がインスリン産生細胞のサイクリンD1-CDK4/6を活性化することを明らかにしたので、サイクリンD1-CDK4/6の阻害活性を有するp15^<INK4A>, p16^<INK4B>, p18^<INK4C>, p19^<INK4D>, p19^<ARF>などを中心にこの細胞で発現しているCDK阻害系の分子の同定を試み、以下の知見を得た。 1.RT-PCR法でインスリン産生細胞で発現するCDKがCDK4であるかCDK6であるかを検討したところ、CDK6の発現は認められず、CDK4のみが発現していた。 2.p15^<INK4A>, p16^<INK4B>, p18^<INK4C>, p19^<INK4D>, p19^<ARF>の発現を検討したところ、p15^<INK4A>, p16^<INK4B>の発現はなく、p18^<INK4C>, p19^<INK4D>, p19^<ARF>が発現していた。 3.Reg蛋白質でインスリン産生細胞を刺激し、CDK4,p18^<INK4C>, p19^<INK4D>, p19^<ARF>の経時的変化を検討すると、CDK4,p18^<INK4C>, p19^<ARF>量の変化は認められなかったが、p19^<INK4D>がReg蛋白質刺激後24時間で低下することが明らかになった。 4.このp19^<INK4D>の低下はmRNAレベルから認められた。 以上のことからReg蛋白質は、 [1]インスリン産生細胞のサイクリン-CDK4を活性化し、細胞周期を正に制御する。 [2]また一方で、インスリン産生細胞のp19^<INK4D> mRNA量を低下させ、細胞周期の負の調節を解除する。 2つの機構によってインスリン産生細胞の細胞周期調節を行い、再生増殖を促進すると考えられた。
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