1.ガンキリン及び26SプロテアソームサブユニットS6の複合体の立体構造解析を通しての機能解析 ヒト由来ガンキリンはCDKを介したG1/S期進行における遺伝子発現制御ばかりでなく、蛋白質分解系を介してのG1/S期進行制御反応にも関与している。本研究課題により、ガンキリンと26SプロテアソームサブユニットS6複合体の立体構造を明らかにし、更に点変異体を作製することで両者の相互作用の意義について解析し、両者の相互作用が特異的かつ機能的であることを証明した。これによってガンキリンを介した蛋白質分解反応系の制御機構を立体構造レベルで明らかにすることに成功した(Nature Struct.&Mol.Biol. revised)。 2.ガンキリン出芽酵母ホモログNas6pと26SプロテアソームサブユニットRpt3pの複合体立体構造解析 ガンキリンの出芽酵母ホモログであるNas6pと26SプロテアソームサブユニットRpt3pの複合体立体構造解析を行った。その結果、上述したマウスのガンキリン-26SプロテアソームサブユニットS6複合体構造と高い相同性を有していた。このように両者の複合体は出芽酵母からヒトまで高度に保存されていることから、細胞周期G1/S期進行におけるプロテアソームの蛋白質複合体の共通基盤であることを見出すことが出来たことを意味する(論文準備中)。 3.G1/S期進行制御において機能するDNA結合性因子JDP2がヒストンシャペロンであることの発見 G1/S期において機能する因子のうち、負の制御因子であるDNA結合性因子JDP2がヒストンシャペロン活性を有することを明らかにした。DNA結合性因子にヒストンシャペロン活性を有していることを世界に先駆けて発表した(Nature Struct.&Mol.Biol. in press)。
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