研究課題
カルパインは細胞質内で基質を直接限定切断することにより、機能・構造を変換するモジュレータープロテアーゼである。細胞周期では、p35 CDK5 activatorのp25へのプロセシング及びp27 CDK inhibitorの寿命制御へのカルパインの関与や、カルパインnCL-4の発現レベルと癌化との関連などが報告されている。我々はカルパイン様プロテアーゼによってcyclin Aが切断を受けて安定化することを見出し、この本体を追求した。その結果、筋特異的カルパインp94の筋特異的プロモーターの上流に、組織普遍的発現を示す新規プロモーターを見出し、p94の新規バリアントの存在を発見した。また、不活性型p94ノックインマウスでは、LPSの刺激による免疫反応に異常が見出され、p94の新規バリアントが血球系の分化にも影響を与えている可能性が示唆された。そこで本研究では、この新規分子種が細胞周期制御にどう関与しているかを明確にすることを目的とした。p94は骨格筋特異的カルパインとして我々が1989年に発見したものであり、その遺伝子変異により筋ジストロフィーを発症する。その後、多くの選択的スプライスバリアントの存在と、発現量が少ないながらも多くの臓器にも発現していることが判明し、p94の普遍的かつ新規な機能に注目が集まっている。そのような中、普遍的発現を示すp94の新規バリアントは、多くの生命現象を解く鍵となりうる。本年度は、特にp94ノックインマウスを用いて、野生型マウスとの比較解析によりp94の作用機序を解析した。DNAマイクロアレイ解析により、興味深いことにノックインマウスでは、DNA-damage-inducible transcript 4、mitogen-inducible gene 6蛋白質などの有意な上昇が明らかとなった。今後は、その生理的意義をさらに詳細に検討したい。
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