研究概要 |
分裂酵母Cds1タンパク質は,DNA複製チェックポイントのエフェクターキナーゼとして機能する。Cds1はN末端にSQ/TQクラスター領域,中央にFHA領域,C末端にキナーゼ領域を持つ。DNA複製チェックポイントメディエーターMrc1とRad3-Rad26キナーゼはCds1の活性化に必要であるが,Mrc1がどのようにしてCds1を活性化するのかについては未解明な点が多い。そこで,Mrc1との結合が損なわれるCds1のFHA領域の1アミノ酸置換体を4種類作成した。これらの株では複製チェックポイントが働いている時に見られるG1-S期のサイクリンであるCig2の蓄積やCds1のリン酸化によるバンドのシフトが見られず,さらにCds1のThr-11の初期リン酸化も起こっていなかった。このことから,Cds1のFHA領域を介したCds1とMrc1の相互作用がRad3-Rad26によるCds1のThr-11の初期リン酸化過程に必要であるといえる。 さらに我々は,two-hybridスクリーニングによりMrc1のN末端とMcm7のC末端が相互作用することを見いだした。この結合が損なわれるアミノ酸置換変異を染色体上のmcm7遺伝子上に導入した結果、複製チェックポイントにおけるCds1の活性化に欠損を示した。よって、Mrc1とMcm7との相互作用はDNA複製チェックポイントに重要な役割を果たす事が示唆された。
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