研究概要 |
我々は、ATPと結合できない変異Orc5pを発現する酵母変異株、orc5-A株を構築し、その解析を行った。orc5-A株は温度感受性を示し、非許容温度で培養を続けるG2/M期の細胞が蓄積すると共に、細胞内のORCが減少した。このORCの分解は、プロテアソームの阻害剤、及びプロテアソーム関連遺伝子の変異導入により見られなくなったので、プロテアソーム依存である。従って、Orc5pのATP結合活性はORCの安定化に寄与していることが分かった。 ORCを構成するサブユニットの一つであるOrc4pを過剰発現させるとorc)5-A株の温度感受性が抑圧された。この抑圧はOrc4p特異的であり、他のサブユニットでは見られなかった。またATP結合以外のorc5変異株の温度感受性は、Orc4pの過剰発現により抑圧されなかった。従ってOrc5PのATP結合活性とOrc4Pとは密接に関連している。そこで、細胞内でOrc5PとOrc4Pが結合するか否かをyeast two-hybrid法により検討した。その結果、Orc5PとOrc4Pとの間に強い相互作用があることがわかった。一方、ATPと結合できないOrc5-Apではその相互作用が見られなかった。この結果から、Orc5P,のATP結合活性はOrc5PサブユニットとOrc4pサブユニットとの相互作用に重要であることが分かった。 以上の結果から、Orc5PのATP結合活性は、Orc5PとOrc4Pの相互作用に必要であり、この相互作用はORCが細胞内で安定に存在するため重要であることが考えられる。
|