1.Elongin A遺伝子改変マウスを作製したが、ヘテロ変異マウスは野生型同様に正常に発育したのに対して、Elongin Aホモ欠失マウスはアポトーシスによる全身の低形成のために胎生10.5日頃に致死となった。さらに、胎仔由来の線維芽細胞(MEF)を単離して表現型を解析したところ、Elongin Aホモ欠失型のMEFではアポトーシスに加えて細胞早期老化の表現型を示すことが明らかになった。発現解析や種々の阻害剤を用いた解析の結果、アポトーシスは癌抑制蛋白p53の活性化によるものであり、細胞早期老化は培養ストレスによるp38 MAPKの活性化が主な原因として想定されている(投稿準備中)。現在、Elongin Aの欠失が如何にしてp53の活性化に結び付くか、その分子機構について解析中である。 2.作製したElongin Aホモ欠失ES細胞は、フィーダー細胞無し、LIF存在下での培養で分化傾向を示すが、これに野生型のElongin A遺伝子を再導入して作製した安定発現ES細胞株は同条件下での培養で未分化性を維持し続けることが判明した。現在、種々の変異型Elongin A蛋白を発現するベクターを用いた再導入実験により同作用に重要なElongin Aの機能ドメインを同定しているところである(未発表)。今後、ES細胞の未分化性維持におけるElongin Aの作用の分子機構について明らかにしていく予定である。
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