研究概要 |
LIS1の機能を明らかにするためにLIS1の結合タンパクを同定した結果、真菌において核の移動を制御している遺伝子であるNudelを同定した。またLIS1,NUDELは共に、中心体に局在すること、モータータンパクの細胞質ダイニンの重鎖と結合しその機能を制御していることがわかった。さらに我々はLIS1,NUDELは微小管ネットワークをコントロールしているカタニンの制御因子であること明らかにした。興味あることに、NUDELのリン酸化は分裂細胞においてはM期特異的に中心体、移動中の神経細胞では中心体や核周辺で起こっており、M期や神経細胞遊走時でのダイナミックな微小管の再編が起こる際に、LIS1,NUDELは制御因子として中心的役割を果たしていることが示唆された。また、14-3-3eはミラー・デッカー症候群の責任領域に位置し、14-3-3eを含む欠損のある患者はより重症の滑脳症となることからミラー・デッカー症候群の主要な修飾因子であることが示唆された。さらに我々は14-3-3eのノックアウトマウスを作成し、その解析から14-3-3eは神経細胞の遊走や細胞分裂の制御に重要な役割を果たしていることを証明された。我々はNUDELの選択的脱リン酸化酵素としてPP4を同定した。PP4はNUDELと同様に中心体に存在するが我々の開発した抗体で局在を解析した結果、納期突入の直前、一瞬に大量に移行することが分かった。ショウジョウバエにおけるPP4の変異では核膜崩壊後に紡錘体の動源体への結合ができないことが分かっている。これらのことはM期突入に際して核膜崩壊前に紡錘体形成に必要なタンパク質の核内移行にPP4は重要な役割を果たしていることを示唆している。
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