研究課題/領域番号 |
16027218
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
加藤 聖 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (10019614)
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研究分担者 |
谷井 秀治 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (90110618)
松川 通 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (30219414)
杉谷 加代 金沢大学, 医学部, 助手 (20162258)
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キーワード | 金魚 / 網膜 / 視神経再生 / プルプリン / レチノール結合蛋白 / レチノイン酸 / 神経突起伸長 / 転写因子 |
研究概要 |
金魚は哺乳類と異なり視神経を切断しても切断端から自然に再生線維が伸長し、視蓋でのシナプス再結合、再編成を経て、完全に視覚機能も回復する。そこで金魚の視神経再生を制御する分子、遺伝子を探索しその機能を解明し視神経再生過程全容の分子理解に努めるとともに、再生困難なヒトの視神経を含めた中枢神経再生の糸口を見つけるのが最終目標である。特に本研究では金魚の視神経損傷直後から、再生線維が伸長する直前までの間に起こる現象を調べ視神経再生の開始トリガーとなる分子の探索を目的とした。視神経損傷5日目網膜からcDNAライブラリーを作製し、正常のそれと比較しポジティブクローンを得た。 金魚の視神経損傷2日後から、発現が上昇するプルプリンと云われる分泌型のレチノール結合蛋白をクローニングした。このリコンビナント蛋白を網膜片培養に添加したところ、レチノールとの共存下で初めて神経突起の著明な伸展を引き起こした。またこのプルプリンの効果はレチノイン酸によっても引き起こされた。以上から、プルプリンはレチノールを運搬し、レチノイン酸を合成することにより、神経再生に必要な遺伝子の転写を促進させていると結論した。レチノイン酸は核内レセプターに結合し多くの遺伝子の転写を活性化することが知られており、プルプリンは損傷早期に発現が上昇し、視神経再生のトリガーとして働いていることが初めて明らかとなった。 次に、コンピューター画像処理装置による魚の行動解析から視神経の機能的再生を試みた。背光反射は光の明暗が感覚できると回復し、約1ヵ月で正常に戻った。他方、複数個の追尾行動は、形状視および空間視が感覚できるまで回復せず、150〜180日で正常に戻った。
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