研究概要 |
本年度は、以下のとおり研究を実施した。 1)棘皮動物Otx遺伝子におけるエンハンサーコア領域の比較解析 SpとLvゲノムDNAからHpOtxエンハンサーコア相同領域をPCRにより増幅し、HpOtxプロモーターとレポーター遺伝子を連結した構築を作成した。これらの構築をウニ胚に導入し、Otxの発現が高い間充織胞胚期にレポーター活性を測定したところ、Hp同様に、Sp,Lvの相同領域において活性が見られた。この結果は、同定したエンハンサーは他種のSpおよびLvにおていも機能し、Lvにおいては別の位置にあるOtx結合部位が機能する可能性を示している。 2)HpOtx遺伝子の多型解析によるエンハンサーコア領域の絞り込み HpOtxエンハンサーコア領域とその上流域および下流の第二エキソンを含む約1800bpの領域を19個体のバフンウニゲノムDNAからPCRにより増幅後、配列を解析した。DNASPプログラムで配列の種内変異を解析したところ、第二エキソンとエンハンサーコアにはSNPは存在したものの頻度は低く、length polymorphismは全く見られなかった。コア内のOtx結合部位は全ての個体において保存されていたが、3種のウニで保存されていたGATA結合部位がSNPにより変異した個体が見られた。一方、エンハンサーコア上流には多数のSNPとlength polymorphismが見られ、コア上流は種内においても変異が入りやすいことが明らかとなった。今回の種内の個体変異からの調節領域の絞込みは、これまでの3種のウニゲノム比較から得られた配列保存性をよく再現しただけでなく、エンハンサー内の転写因子結合部位の絞り込みにも有用であることがわかった。
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