研究概要 |
カタユウレイボヤの発生におけるHox遺伝子の機能の解析 我々は、カタユウレイボヤのHox遺伝子のクラスター構造、およびメンバー遺伝子の発生過程における発現をFISHおよびWISHによって系統的に解析し(Ikuta et al., 2004)、カタユウレイボヤのHox遺伝子クラスターは崩壊しつつあること、コリニアリティも失われつつあること、さらに尾索動物亜門の成立とHox遺伝子のクラスター構造およびいくつかのメンバー遺伝子の欠失とが深く関わっていることを指摘した(Ikuta and Saiga, 2005)。さらに、カタユウレイボヤの発生におけるHox遺伝子の役割を明らかにするため、すべてのメンバー遺伝子について、アンチセンスモルフォリノオリゴヌクレオチドを用いた翻訳阻害により機能解析を試みた。この中で、Ci-Hox10およびCi-Hox12については、それぞれ、尾芽胚の尾の先端が正常胚のものに比べて丸くなる、幼若体の消化管の一部が形成されなくなる形態異常が認められた。 ホヤのLhx3遺伝子の構造と発現制御機構の解析 脊椎動物においては、LIMホメオドメイン遺伝子の1つLhx1遺伝子はシュペーマンオーガナイザーの機能因子として知られている。ホヤの原腸形成においてはLhx3遺伝子が主として内胚葉の系譜で発現する。我々は、マボヤのLhx3遺伝子について、以前にmRNAの塩基配列を調べていた尾芽胚期に加え、卵割期からのmRNAとファージゲノムクローンの塩基配列解析を行ってマボヤLhx3遺伝子のゲノム構造を明らかにした。カタユウレイボヤについても、2つの発生段階でのmRNAの配列を調べ、マボヤと同様な時期特異的転写産物があること、そして時期特異的に発現する2つのエクソンがあることを確認した。現在転写機構の解析を進めている。
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