研究課題/領域番号 |
16027246
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
川上 潔 自治医科大学, 医学部, 教授 (10161283)
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研究分担者 |
佐藤 滋 自治医科大学, 医学部, 講師 (70306108)
池田 啓子 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10265241)
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キーワード | Slx遺伝子 / 嗅上皮 / 分化 / 形態形成 / 標的遺伝子 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
Six1及びSix4は汎プラコード的な発現パターンを示し、遺伝子欠損マウスにおいてはプラコードから生じる内耳、鼻および脳神経節の形成異常が観察されることから、Six1及びSix4がプラコードからの器官発生に重要な役割を果たしていると考えられる。プラコードから生じる感覚器官等の形成におけるSix遺伝子群の役割を解明するために、(1)Six1遺伝子変異マウスの解析、(2)Six1/Six4遺伝子二重変異マウスの器官発生異常の解析、(3)Six1及びSix4の機能の相違をもたらす分子基盤の3点を中心に研究を行った。 (1)Six1^<-/->マウスでは上皮細胞層が薄くなり、嗅上皮の成熟神経マーカーであるOMPの発現が全く見られない。また、E12.5においては細胞増殖の低下が認められた。嗅上皮で特異的に発現するマーカー遺伝子の内、Dach1、Dlx5およびSix6の発現領域は拡大し、Eya1の発現は見られなくなった。従って、Six1は嗅上皮の神経細胞の分化、細胞増殖およびパターニングに関与していることが示唆された。 (2)Six1^<-/->/Six4^<-/->変異マウスは内耳、嗅上皮、腎臓、骨格筋においてSix1^<-/->マウスに比べて、より早い時期から形成異常がみられ、異常の程度もより重篤であった。さらに、脳神経節の低形成、鰓弓の形成異常、尿管の欠失など、Six1^<-/->マウスでは見られなかった器官の形成異常が観察された。 (3)Six1とSix4の標的遺伝子をVP-16融合Six1およびVP-16融合Six4蛋白質をmK4細胞(後腎間葉由来)に過剰発現させてマイクロアレーでスクリーニングした結果、Six1とSix4で制御のされ方の異なる標的遺伝子候補を同定できた。制御様式が異なる分子基盤を明らかにするため、標的遺伝子のひとつSlc12a2遺伝子プロモーターの反応エレメントを解析し、3箇所のSix1特異的結合部位と1箇所のSix1とSix4に共通の結合部位を見出した。 Slc12a2の背根神経節発生における発現は、Six1/Six4^<-/->マウスの胚(E16.5-E18.5)においては野生型に比べて大きく低下していた。Six1及びSix4の発現していない組織(Choroid Plexsus)では発現レベルは変わらなかった。従って、生体内においてもSlc12a2遺伝子はSix1及びSix4の標的遺伝子として活性化されていることが示唆された。
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