研究課題/領域番号 |
16027251
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
濃野 勉 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (20098619)
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研究分担者 |
成田 知弘 川崎医科大学, 医学部, 助手 (40330550)
和田 直之 川崎医科大学, 医学部, 助手 (50267449)
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キーワード | Wnt3a / Wnt5a / Wnt11 / 四肢形成 / 顎顔面形成 / βカテニン / 顔面隆起 / シグナル配列 |
研究概要 |
Wnt3aはβカテニン経路を活性化するが、ニワトリWnt3aは分泌シグナルの配列がないことや、肢芽で強制発現を行っても表現型が変化しないなど問題点がある。ニワトリWnt3aのN末端領域の配列がマウスやヒトのWnt3aと異なっていることから、ニワトリには別の転写産物が存在すると考えられ、新規Wnt3a転写産物の同定を試みた。5'-RACEで得られた断片の1つはシグナル配列を持ち、マウスのN末端領域と高い類似性があった。この転写産物(Wnt3a Type III)の発現をRT-PCRによって検出すると、Wnt3aの発現が知られている領域(原条、背側神経管、近位耳胞、AER、羽毛芽)の全てで発現が確認された。Type IIIをRCASで強制発現したところ、AER、四肢軟骨、羽毛芽の形成に影響を及ぼした。CEFでの強制発現では細胞質にβカテニンが蓄積し、レポーターアッセイでもマウスWnt3aと同様に活性が上昇した。ニワトリにもβカテニン経路を介して機能するWnt3aがあることが確認された。 肢芽で発現するWntファミリーが他の器官形成で果たす機能を調べるために、顎顔面形成過程における発現を調べた。顎顔面は上顎隆起、下顎隆起、および前頭鼻隆起から形成され、これらは伸長しながら相互に融合し、顎顔面の形態が形成される。隆起形成から融合に至る過程での発現をニワトリ胚で調べると、Wnt3a、5a、10a、11の発現を確認した。Wnt5aは顔面隆起の構造が明瞭になる段階で隆起の遠位側半分の間充織で強く発現し、発生が進行するとより遠位に限定するようになる。Wnt11も顔面隆起の間充織で発現しているが、発現部位はWnt5aに比べて局所的で、隆起が相互に近接する部位で発現している。発生が進行すると隆起の近接部に限定して発現し、融合が開始する段階では消失した。Wnt5aは顔面隆起を構成する間充織の増殖を調節して隆起の伸長に関与し、Wnt11は顔面隆起の融合に関連すると考えられる。一方、Wnt3aおよびWnt10aは顔面隆起の外胚葉で均一に発現し、口窩辺縁の融合に関与すると考えられる。
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