研究概要 |
1)鰓弓特異的転写活性能を持つI37-2エレメントに結合する転写因子を探索するため、one-hybrid法によりI37-2エレメント内をコンパートメントに分けて標的配列としてマウス9.5および10.5日胚の鰓弓領域から抽出したcDNAのスクリーニングを行った。約3,000得られたポジティブクローンの中で、複数のヒットがあったものを候補として絞り込んだ結果、HMG-boxを持つ遺伝子が2種、homeodomainを持つ遺伝子が1種含まれており、現在これらの遺伝子産物とI37-2エレメントとの間の相互作用について生化学実験による確認作業を行っている。2)新たに10種のほ乳類からDlx3-7クラスター全長を含むBAC配列をスクリーニングし、配列を決定し比較した。我々が用いたヒト、ヒヒ、キツネザル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ウシ、ブタ、コウモリ、ヘッジホッグ、アルマジロ、オポッサムの比較では、すべての種に鰓弓特異的エンハンサーI37-2が保存しているのが確認された。魚類(フグ、ゼブラフィッシュ)のゲノムにはI37-2エレメントが存在しないことと考え合わせると、I37-2はほ乳類で進化した鰓弓由来の頭蓋形態発生に必要なエレメントである可能性が示唆される。さらに、我々が2001年に発表した解析法を用いてI37-2エレメントでの高解像度系統フットプリント解析を行ったところ、7モチーフが上流因子の結合配列の可能性が非常に高い領域として同定された。これらの中にはDLXそのもの結合配列と、他のホメオドメイン結合配列と、さらにbasic Helix-Loop-Helix因子の認識配列E-boxとが見いだされた。いずれも、鰓弓に発現することが知られている転写因子ファミリーであり、重要な候補因子として現在解析を進めている。現在以上の結果を投稿準備中である。
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