研究課題/領域番号 |
16028101
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
福永 力 首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (00189961)
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研究分担者 |
佐々木 修 首都大学東京, 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所, 助教授 (30178636)
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キーワード | エレクトロニクス / 放射線被爆 / 耐放射線 / ガンマ線吸収量 / シングルイベントアップセット |
研究概要 |
当研究は2年計画で遂行した。平成17年度はその2年目である。この1年は具体的にはスイスジュネーブで計画中の実験「ATLAS」の測定器制御読み出しに利用されるエレクトロニクスについてその前年までの放射線照射実験でのデータの解析を中心に研究を進めた。ATLASは14TeVという高いエネルギーの陽子・陽子衝突実験であるので測定器際にあるエレクトロニクスは衝突で引き起こされた2次粒子による放射線被爆がおこる。この放射線被爆によりエレクトロニクスは異常動作を行うことがわかっている。この異常動作がどのくらいの頻度で起きるかを計算し、その条件で異常動作を起こしにくい既存の商用素子でより耐放射線性のあるものを特定あるいは見極めなければならない。 異常動作は素子の基本となるトランジスタ内で起こり、おもに比較的低いエネルギーガンマ線による蓄積効果によるもの、それと高いエネルギーをもつ重い粒子(陽子や中性子)による単発的効果によるものに分けられる。前年(16)度われわれはガンマ線による蓄積効果による素子の電気的特性変化を低ガンマ線照射を段階的に行いながら測定した。また陽子サイクロトロンを利用して70MeVの陽子をメモリー素子にあてることによりメモリー記憶データの偶発的変化の数(ビット数)から単発的効果の頻度を見積もった。17年度それらのデータの解析を詳細に行うことにより商用に開発されているさまざまな素子の耐放射線性を見積もった。商用素子については予備的結果を16年度2回国際会議で3回公表した。17年度それらをもとにした最終結果を掲載した論文をIEEE Transaction of Nuclear Scienceに投稿し、受理され、出版された。これをもって研究サイクルが一巡し完了したといえる。また17年度にも未照射素子に対するガンマ線照射実験を行ったが、これらのレポートはまだ行っていない。いずれ機会をみてこれらの結果の公表も行っていくつもりである。
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