研究課題
(ちょう)ゲージ階層性問題に対する新たなアプローチとして近年提案された「リトルヒッグス模型」に関する現象論的な研究を行った。模型の持つ対称性に起因して新たに導入されるextra gauge bosonの生成崩壊について調べた後、extra gauge bosonの存在を予言する、超対称E6大統一模型とリトルヒッグス模型との区別を、電子・陽電子リニアコライダーにおけるフェルミオン対生成過程を通して行うことを調べた。この過程の前方・後方非対称性は模型の持つ任意パラメータに対する依存性がないため、明確に模型の区別がつけられることを示した。交付された科研費により、研究支援者として大下範幸を採用した。得られた研究成果は以下のとおりである:超対称性理論におけるレプトン・フレーバーを変える相互作用を、電子・陽電子リニアコライダーで測定する可能性を調べた。ニュートリノの超対称パートナーであるスニュートリノ対の生成過程において、スニュートリノの世代を変える相互作用による帰結を調べた。他のレプトン・フレーバーを破る過程に対する現在の実験的制限を考慮した上で、世代の異なるスニュートリノ対の生成断面積が観測可能な値を示す可能性があることを示した。(菅本)(1)量子ホール効果の擬電子と擬ホールが共存する系であるエクサイトンを2成分行列模型を用いて定式化し、その分散関係を導いた。(2)1次元方向が離散的な模型において離散方向への巻き付き自由度を考慮すると、クォークに質量混合を導入できることを示した。(3)新しく発見された「ペンタクォーク」と呼ばれるクォーク5体のバリオンを、弦理論を用いて理解する研究を行った。AdS/CFT対応を用いて、ペンタクォークの質量公式を導出し、このバリオンが予想に反して極めて安定な理由を定性的に説明した。(4)AdS/CFT対応とは弱結合のゲージ理論が強結合になると、双対ゲージ場が2体凝縮を起こして重力理論になる現象であると考えた。
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