当研究プロジェクトの目標は、クォークとレプトンの質量行列のフレーバー構造を明らかにし、それらを統一するモデルを構成することである。今年度は、これまでの質量行列の研究成果に基づいて、ニュートリノ質量とフレーバー混合の新しい実験値を用い、ニュートリノ質量行列の構造を精密化した。さらに、この構造の理論的分析によりフレーバーの起源を推測し、理論の対称性等について検討をおこなった。その結果、以下のように、フレーバーの離散対称性や超対称性にもとづいたクォークとレプトンの質量行列の構成を実現することができた。 1 クォークとレプトンの質量行列の構造をフレーバーの離散対称性であるD4、Q8から導出した。これらの理論から現象論的分析をすすめ、レプトンフレーバー混合Ue3の予測を行なった。 現在 S3対称性から質量行列の構造の研究をすすめている。 2 クォークとレプトンの質量行列の構造をヒッグスセクターまで含めて、超対称性とSO(10)大統一理論に基づき構成した。このモデルによりフレーバー混合の予言をおこなった。 3 レプトンの質量行列の構造を、現象論的に決める手法として、行列要素の一つがゼロで、さらに二つの要素の大きさが同じになるような行列パターン60種類を数値解析し、そのフレーバー混合の予言の特徴をあきらかにした。(論文準備中) 4 そのほか、質量が変化するニュートリノモデルとダークエネルギーの関係を明らかにした。
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