| 研究概要 |
今年度は、弦模型から導かれるフレーバー構造についての研究を行いました。弦理論は、重力相互作用を含んだ統一理論の有力な候補です。そしてその弦理論は、我々の4次元時空以外に6次元コンパクト空間の存在を予言します。実は、このコンパクト空間の幾何学的性質がフェルミオンのフレーバー構造を決定しています。しかし、これまでどのようなフレーバー構造が弦模型から導けるのか、どのようなパターンの湯川行列が導けるのかといったことの系統的な解析はなされていませんでした。今年度は、heterotic orbifold models, intersecting D-brane modelsにおいて、そのような系統的な解析の第一歩を踏み出した。
まず、heterotic orbifold modelsにおいては、その特定の模型のクラスであるZ_6 orbifold modeldsにおいて、可能なすべて場合について、系統的に結合の選択則と湯川行列自身の大きさの解析を行い、導出されるquark, leptonの質量行列の分類をしました。実際に、ある特定の場合には、現実的なフェルミオンの質量や混合角を導くような例を示しました。この例が具体的に弦模型から現実的な混合角が導かれる可能性を示した最初の例だと思います。
intersecting D-brane modelsにおいても系統的な解析の準備として、まず結合の選択則の定式化を行いました。それを武器に導出可能なフレーバー構造の分類を一部行いましたが、それによると単純なD-braneの配位では、現実的な湯川行列を導くことが難しいようです。一方で、強結合のダイナミックスを使うと面白い湯川行列が導けることを示しました。
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