研究課題/領域番号 |
16030202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松山 成男 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70219525)
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研究分担者 |
石井 慶造 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00134065)
山崎 浩道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00166654)
菊池 洋平 東北大学, 大学院・工学研究科, 教務職員 (50359535)
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キーワード | エアロゾル / 個別粒子分析 / マイクロビーム / PIXE / RBS / STIM / 化学組成 |
研究概要 |
大気エアロゾルは、人の健康や動植物への影響をはじめ、自然環境や生活環境などの広い範囲に影響を与えている。これらのエアロゾル粒子は、粒径、形状、化学組成、化学反応特性など多数の因子により特徴づけられており、発生源等の情報を含んでいる。この中でもエアロゾルの化学組成は、発生源の情報等を多大に含んでいるために、これらを分析することにより成因や発生源の特定が可能と考えられる。エアロゾルの元素分析はすでに行われているが、これらは種々の起源を持つエアロゾル粒子が混じった平均的な状態の分析が主であり、元素分布はわかっても、化学組成や化学状態までを知ることは困難であった。そこで本年度はまず、マイクロビームとPIXE、RBS、STIMを組み合わせ、粒子毎に水素から重金属までを同時測定が可能なマイクロビーム分析システムの開発を行い、実際に収集したエアロゾル粒子について、粒子毎の分析を試み、化学組成と化学状態を調べることができるかについての検討を行った。 エアロゾル粒子の収集法としては、フィルターによる方法とインパクターによる方式を検討した。その結果、全元素分析のためには、バックグラウンドとならないよう、有機薄膜上にインパクションする方式がもっとも適していることが分かった。薄膜は市販の膜でも厚いため、0.3ミクロン厚のポリカーボネート薄膜を開発した。 インパクターにより、開発した極薄ポリカーボネートフィルム上に収集した。粒子が重なり合わないように、サンプリング時間を調整した。分析はビーム径1μm^2、ビーム量50〜100pA、スキャンサイズ2500〜10000μm^2で行った。Direct STIMにより、収集された粒子の分布と密度を測定することができた。またPIXE/RBS/of-axis STIMにより、個別粒子毎の元素分布を求めることができた。軽元素も同時に測定が可能であることは、元素の化学状態を知る上で非常に有効であることが分かった。 これらと合わせて、化学状態を直接測定するために、位置敏感型比例計数管を用いた結晶分光器の開発を進めており、18eVの分解能が得られている。
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