イオン誘発核生成は、大気環境における二次粒子発生を評価する上で非常に重要な機構である。本研究では、イオン誘発核生成の新しい計測法を提案・開発し、低濃度H_2SO_4およびHNO_3蒸気を含む湿潤空気におけるイオン誘発核生成の定量評価を行う。提案する計測法は、微分型モビリティアナライザをイオン成長場とし、イオンからナノ粒子への成長をin situ観察する手法である。新手法の開発のために必要な下記技術について検討した。 (1)水クラスターおよびH_2SO_4、HNO_3イオンの発生 (2)H_2SO_4/H_2O/air混合ガスの大量製造 (3)データ解析法 (1)は、音速ジェットイオナイザーを用いたクラスターイオン発生装置を開発した。粒径1.3〜2nm、濃度10^<10>cm^<-3>の水クラスターイオンおよび硫酸/水クラスターイオンの発生を確認した。(2)のためにSO_2/O_3/H_2O/air混合ガスにKrFエキシマレーザを照射する流通型光反応器を作成した。本システムで合成される硫酸の濃度を推定するため、反応モデルを検討し、モデルに基づく数値解析プログラムを作成した。また、オゾンの光分解実験をおこない、試作した理論計算プログラムの妥当性を確認した。 (3)については、データ解析のための指針となる、種々のDMA湿度における、イオン移動度測定を行なった。その結果、DMA湿度によりイオンの移動度が大きく変化することを確認した。
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