研究課題
本研究においては、過去20〜30年間の中国を対象に、日射計による日射量の直接観測データ、衛星観測による雲データから推定される日射量データおよび気象データを用いたパラメタリゼーションによる推定値を用いて、日射量の季節変化及び長期変動の解析を行なうと同時に、エアロゾルや雲の長期変動に関しても考察を加え、人間活動がこの地域の日射量に及ぼす影響の評価を試みた。日射計データは中国気象局による定常観測によるもの、衛星観測雲データによる推定値としては、ISCCP-FDデータとGEWEX-SRBデータを用いた。また、気象データによる推定値は水蒸気量や日照時間等のデータに基づいて算出している。これらの比較、解析を行なったところ、各データセットは概ね一致しているが、大都市域や砂漠地域などで日射計データと衛星観測推定値の間に系統的な差(バイアス)が見られた。データの詳細な解析と放射伝達計算による定量的な評価の結果、このバイアスはエアロゾルに起因していることが示された。特に雲底下のエアロゾルも光吸収特性が強い場合には地上の日射量に大きく影響することが明らかになった。本特定領域研究の他のグループの研究成果やその他の研究成果から、東アジア域のエアロゾルはブラックカーボンや有機炭素を含む割合が多く、比較的光の吸収が比較的強いことが示されており、我々の結果と総合すると、人為起源エアロゾルが中国や東アジア域の日射量に大きく影響していると考えられる。
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Geophysical Research Letters 33
ページ: L06802, doi:10.1029/2005GL025093
SOLA 1
ページ: 33-36