研究課題
特定領域研究
本研究では、中国全域における地表面日射量について、日射計データ、衛星観測雲データによる推定値、気象データによる推定値を用いて比較、解析を行なった。過去に取得された日射計データの質を精査するために新しい評価手法を開発し、解析を行った。その結果、本研究で用いた日射計データは十分信頼できることが分かった。また、衛星データに基づく推定値と日射計データは概ね一致しているが、大都市域や砂漠地域などで系統的なバイアスが見られる場合もあった。その原因は衛星データから日射量を推定する際のエアロゾルの取り扱いに起因することが分かった。特に都市域の光を吸収するエアロゾルは曇天時に雲底下に存在する場合においても日射量に大きく影響する。次に、主に日射計データの解析から、1960〜2000年の間に日射量の減少が示唆された。一方で雲量も減少傾向にあるが、日射量減少の要因は、エアロゾルによる直接効果あるいは間接効果の組み合わせで説明できる可能性があることが分かった。特に雲の光学的厚さの変動が重要であり、この変化が雲量の減少による効果より勝ることが示唆された。また、日射量の長期変動を詳しく見たところ、1990年頃を境にして中国全域の平均値は若干増加傾向に転じていることが分かった。これは、北米やヨーロッパなどで指摘されてきた傾向と一致しており、北半球のかなり広い地域でいわゆる"Global dimming and brightening"現象があったことになる。その要因の解明は気候変動研究において今後重要なテーマになると思われる。
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Geophysical Research Letters 33
ページ: doi:10.1029/2005GL025093
Geophys.Res.Lett. 33, doi:10. 1029/2005GL025093
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ページ: 353-363
Journal of Geophysical Research (in press)
J.Geophys.Res. (in press)