研究概要 |
1.開発した強レーザー場中の衝突過程を扱う計算方法のうちGVV-DQMSCC法を(He^<2+>+H),(Li^<3+>+H)系に適用したところ,短時間で計算が可能であるが,レーザー場が強くなると強結合グループと弱結合グループを分けることが難しいことがわかった。そこで,ドレスト状態は多数の状態を考慮して作り,それらから自動的に重要な状態のみを選んで遷移確率を計算するプログラムを開発した。(He^<2+>+H)系で計算を行ったところ,DQMSCC法のほぼ半分の時間で計算が実行できた。またDQMSCC法による14状態を用いた計算結果が収束していたように見えたのは見かけ上のものだったことがわかった。 2.衝突過程をレーザーで制御し,望み通りの物質を純度よく作る方法の開発をめざし,H^+とHをレーザー場(振動数0.1au)中で衝突(エネルギー0.053au)させ,多チャンネル波束法(半値幅ΔR=1.5au)を用いて反応を追跡し,分子生成確率を求めた。電場強度が0.01auの場合には振動・回転量子数が(4,0-3),(4,3-7),(3,7-12),(2,12-17),(1,17-22),(0,22-28),電場強度が0.02auの場合には振動・回転量子数が(3,0-3),(3,3-7),(2,8-12),(1,12-17),(0,17-22),(0,22-28)の状態に捕獲されやすいことがわかった。 3.(Be^<2+>,Be^<3+>,Be^<4+>+H(2s,2p))衝突系の電荷移行断面積を分子基底緊密結合法を用いて,衝突エネルギー60eV/amuから6keV/amuの領域で計算した。(1)荷数の等しい多価イオンによる電荷移行断面積は似た値を示す,(2)ある特定の主量子数状態に捕獲される(Be^<2+>,Be^<3+>,Be^<4+>イオンそれぞれn=3,4,n=5,n=6の状態)ことがわかった。
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