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2004 年度 実績報告書

連続時間周期摂動系におけるトンネル効果の複素半古典論を用いた解析

研究課題

研究課題/領域番号 16032210
研究機関九州工業大学

研究代表者

高橋 公也  九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70188001)

キーワード多次元トンネル効果 / 複素半古典論 / カオス的トンネル効果 / S行列
研究概要

平成16年度は、障壁ポテンシャルに周期摂動を加えたときに現れるカオス的トンネル現象に注目し、複素半古典論を用いたカオス的トンネル軌道の解析を行い、カオス的トンネル現象の背後にある複素古典力学的な機構を明らかにした。
これまでの研究で明らかにされたように、カオス的トンネル現象は、従来のインスタントン描像では説明できない。カオス的トンネル現象に寄与するトンネル軌道の性質は複素領域に拡張された非可積分系の不変多様体の幾何学的な構造(安定多様体や不安定多様体等の絡み合い)に支配されている。このようなカオス的トンネル現象は、一次元の散乱ポテンシャルに周期摂動を加えたときに一般的に現れる現象と考えられ、波動関数やエネルギースペクトル等にカオス的トンネル軌道の性質を反映した著しい特徴が現れることが期待される。
本研究では周期摂動下の障壁トンネル効果の問題に注目し、トンネルスペクトルにインスタントン理論では説明不可能な特徴が現れることを示した。さらに、断熱近似解を用いた理論計算により、複素領域の古典力学的なヘテロクリニック構造が複素半古典論を介しカオス的トンネル現象を支配する機構を詳細に調べ、カオス的トンネル現象特有のスペクトルを解析的に再現することに成功し、連続時間系におけるカオス的トンネル効果の基礎理論を確立した。本研究で明らかになったカオス的トンネル現象の基礎的な構造は、時間連続系だけでなく写像系のカオス的トンネル効果に見られるものと本質的に同じである。
これらの成果を用いると、強光子場によるトンネルイオン化などの問題の背後にある複素古典力学的な機構を明らかにすることが可能であると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Classical Mechanism of Multidimensional barrier tunneling2005

    • 著者名/発表者名
      K.Takahashi, K.S.Ikeda
    • 雑誌名

      Advances in Chemical Physics 130

      ページ: 401-434

  • [雑誌論文] 複素半古典論と多次元障壁トンネル効果2004

    • 著者名/発表者名
      高橋公也, 池田研介
    • 雑誌名

      物性研究 82

      ページ: 725-728

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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