研究課題/領域番号 |
16033215
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平岡 秀一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10322538)
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研究分担者 |
塩谷 光彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60187333)
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キーワード | 自己集合 / 分子運動素子 / 金属配位子交換 / 銀イオン / ディスク状多座配位子 / 回転運動 |
研究概要 |
前年度までの研究により、配位環として六員環であるオキサジン環を導入したディスク状三座配位子と6つのチアゾリル基を有するディスク状六座配位子と銀イオンからつくられるサンドイッチ型銀(I)三核錯体では、フリップ運動のエネルギー障壁(ΔG^<【thermodynamics】>_<flip>)は配位子交換のエネルギー障壁(ΔG^<【thermodynamics】>_<M-L>)と等しいか、もしくはそれよりも大きいと結論づけられた(ΔG^<【thermodynamics】>_<flip>【greater than or equal】ΔG^<【thermodynamics】>_<M-L>)。本年度は、これらの相対的なエネルギー差についてより詳細な知見を得るために、新たな運動解析のシステムとしてC_<2V>対称性を持つディスク状六座配位子をデザインした。この新規ディスク状六座配位子とディスク状三座配位子から構築される分子ボールベアリングの場合、温度可変^1HNMR測定を行うことにより、配位子交換とフリップ運動の相対的なエネルギー差に関して、(1)ΔG^<【thermodynamics】>_<flip>>ΔG^<【thermodynamics】>_<M-L>と(2)ΔG^<【thermodynamics】>_<flip>【less than or equal】ΔG^<【thermodynamics】>_<M-L>を分類することが可能となる。従って、前年度の結論と併せて議論することにより、ΔG^<【thermodynamics】>_<flip>=ΔG^<【thermodynamics】>_<M-L>であるかΔG^<【thermodynamics】>_<flip>>ΔG^<【thermodynamics】>_<M-L>あるかを明確にすることができる。銀(I)三核錯体の定量的な生成は^1HNMRおよびESI-TOF mass測定により明らかにした。次にこの錯体の温度可変^1HNMR測定を行った結果、温度の低下に伴ってディスク状六座配位子および三座配位子がほぼ同時にブロード化し、さらに温度を低下させると各シグナルは分裂した。この一連の変化からオキサジン環を有するディスク状三座配位子を用いるとΔG^<【thermodynamics】>_<flip>【approximately equal】ΔG^<【thermodynamics】>_<M-L>であることが明らかとなった。従って、配位環の環サイズを変化させることにより、分子ボールベアリングの回転速度をコントロールできることが明らかとなった。
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