研究概要 |
対称配位子PNNPおよび非対称配位子PNNNを用いて同種および異種金属二核錯体の系統的合成を行いライブラリー構築を行った。中心金属としてはロジウム・イリジウム・パラジウムを用いた。 1.[(PNNP)Rh_2]ユニットに基づいた錯体として、架橋部位にアセチリド,H,O,C≡C-R,R-C≡C-R,C≡C,CH=CH_2,SMe_2配位子を含む錯体を合成し、分光学的手法および結晶構造解析による同定を行った。このうちH,O,C≡C-R,については二量化した四核錯体が生成した。四核アセチリド錯体については、金属-金属結合の切断-再結合を経る動的挙動を示すことを明らかにし、柔構造のクラスター系が生成することを確認した。 2.PNNN配位子を用いた場合には、試薬を加える順序を逆転させると、金属配置が逆転した錯体[(cod)Ir(PNNN)ML]^+および[LM(PNNN)Ir(cod)]^+が完全な選択性で生成した。この反応では最初にイリジウム種を付加させた段階で二核中間体が形成され、その後脱プロトン化が起こるか、第二番目の金属種の配位が起こるかで反応経路が決定されており、金属移動が起こる場合にはもともと配位していた配位子のPN位から、二核中間体の他方の配位子のNN位へ転位することを明らかにした。この方法により一連の組み合わせの異核錯体を合成した。 3.パラジウム-イリジウム錯体が中性条件でアリルアルコールのアミンによる触媒的アリル化反応の触媒となることを明らかとし、この系が触媒作用を示すことを明らかにした。
|