研究概要 |
メゾ無置換のポルフィリン亜鉛錯体を銀塩で酸化すると、メゾ位同士で直接結合した多量体が得られる。この反応をメタフェニレンダイマーZAに適用し、6量化して6ZAを得た。最後にこれを高希釈条件下で分子内カップリングし、環状ポルフィリン12量体(C6ZA)を得ることに成功した。得られたC6ZAのSTM像は銅基板上で環状(中空)の形状を明瞭に示した。現在、このユニークな形状を生かした分子認識・ホスト・ゲスト化学を展開中である。また、環状に配置されたポルフィリン多量体は、光合成光捕集アンテナのモデル化合物としても非常に興味深い。事実、一重項励起エネルギーはメゾ・メゾ結合ポルフィリン2量体間を3.7ピコ秒という高速で移動していることを明らかにした。現在はさらに巨大な環状ポルフィリンとして24量体の合成を検討中である。 5,10-二置換型ポルフィリンZ1の銀塩酸化によるカップリング反応を繰り返すことによって、すべてのポルフィリンがメゾ位で直接連結された一連の環状ポルフィリン多量体(CZn : n=4,6,8)の合成に成功した(Scheme2)。これらは共有結合によってポルフィリン分子のみで構成された初めての環状ポルフィリン多量体であり、これまで当研究室で合成してきた直鎖状メゾーメゾ結合ポルフィリンアレーの光物性の比較は興味深い。
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