研究概要 |
ハロゲン化スズヒドリド触媒による還元的アルドール反応 ハロゲン化スズヒドリドはカルボニル基に対する反応性が比較的低い。そこでアルデヒドが共存する系でエノンの還元を行った。その結果、Ph_2SiH_2を水素源とし、Bu_2SnIHを触媒に用いると効率良くアルドール生成物が得られた。本反応では、はじめにBu_2SnIHがアルデヒドと反応することなく、エノンを選択的に1,4-還元し、Z体スズエノラート7を与える。続いてアルドール反応が起こり、syn体スズアルドレートが得られる。最後に、スズ-酸素結合がPh_2SiH_2と反応してシリルアルドレートを与えるとともにスズ触媒が再生する。スズヒドリドを等モル用いた場合には水溶媒中での反応は困難であったが、本触媒系では還元的アルドール反応が水中で進行した。 インジウム触媒による還元的アルドール反応 我々はすでにBu_3SnH-InBr_3金属交換により発生させたInBr_2Hも等モル量で還元的アルドール反応を起こすことを報告している。今回、スズの代わりにEt_3SiHを水素源として用いた触媒的な還元的アルドール反応が高いsyn選択性で進行することを見出した。この際、金属交換を起こしInBr_2Hを発生させるためには、ニトリル溶媒が必要であった。本系はInBr_2Hにより還元的アルドール反応が進行し、生成したsyn体インジウムアルドレートが直ちにEt_3SiHによって捕捉され、InBr_2Hが再生されるとともにシリルアルドレートが得られるもめと考えられる。このInBr_3/Et_3SiH系では基質の適用範囲が広がり、従来困難であった脂肪族アルデヒドでさえ求電子剤として用いることが可能となった。
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