• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

リン原子の立体的および電子的柔軟性に基づく多核金属錯体の動的架橋構造

研究課題

研究課題/領域番号 16033245
研究機関広島大学

研究代表者

水田 勉  広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70221603)

研究分担者 久保 和幸  広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (90263665)
キーワードリン架橋[1.1]ferrocenophane / クロロホスフィン / syn-anti異性化 / アリール化 / アルキル化 / アミノ化
研究概要

リン架橋[1.1]フェロセノファンは,キレートとして有用であることが判ったが,実用的な観点からは,リン上を種々の置換基に変えられることも重要な点である。そこで,種々の誘導体の原料として有用な、リン上にClをもつものの合成を検討した。
まず,フェロセンの上下のCp環にP(NEt_2)_2を導入し次いでそれぞれのアミノ基を1つずつクロル化した。このようにして得たものにたいして,まずCpをリンに結合させ次いでFe^<2+>を導入して2番目のフェロセンユニットを構築した。得られた[1.1]フェロセノファンは各種NMRで同定し,anti体についてはX線解析でも構造を確認した。生成物のantiとsynの比は5:4であった。次に,リン上のアミノ基をクロル化するためにHClとの反応を行った。この反応は,出発にsynとantiの混合物を用いたにもかかわらず,単一の異性体を与えた。この生成物の^<13>C{^1H}NMRを測定したところ,Cp環のipso-Cがtripletとして観測された。これは,P同士が空間をとおして強くカップリングし,見かけ上ipsoCが2つのPと等価にカップリングした結果である。このことは,生成物がsyn体である明確な証拠である。通常,antiからsynへの異性化には加熱を必要とするが,クロロホスフィン類に関しては,HClと反応して5配位を経由することで室温でも速やかに立体反転を起こすことが知られている。従って,合成段階で系中に共存するHClによって,より安定なsyn体への異性化が併発したものと解釈できる。
このようにして得られた,synのクロロホスフィン体に対して,アリール化,アルキル化,およびアミノ化を試みたところ,期待どおりsynの構造を保持したまま進行し,一連の置換基を有するリン架橋[1.1]フェロセノファンを合成することが出来た。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Reactions of Ring-Slipped Iron Complexes Derived from P(=S)Ph-Bridged [1] Ferrocenophane : Synthesis of Bis(half-sandwich) Heterodinuclear Complexes2006

    • 著者名/発表者名
      Yuki Imamura
    • 雑誌名

      Organometallics 26(In press)

  • [雑誌論文] Stereoselective Synthesis and Coordination Behavior of Phosphorus-Bridged [1.1]Ferrocenophanes2006

    • 著者名/発表者名
      Yuki Imamura
    • 雑誌名

      Organometallics 26・4

      ページ: 882-886

  • [雑誌論文] Synthesis of Coordinatively Unsaturated Cobalt(II)-Alkyl Complexes Bearing Phosphorus-Bridged [1.1]Ferrocenophanes2006

    • 著者名/発表者名
      Yuki Imamura
    • 雑誌名

      Chem.Lett. 35

      ページ: 260-261

  • [雑誌論文] Chelate and Pincer Carbene Complexes of Rhodium and Platinum Derived from Hexaphenylcarbodiphosphorane, Ph_3P=C=PPh_32005

    • 著者名/発表者名
      Kazuyuki Kubo
    • 雑誌名

      J.Am.Chem.Soc. 127

      ページ: 5314-5315

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi