研究課題/領域番号 |
16033247
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
成田 吉徳 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (00108979)
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研究分担者 |
谷 文都 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教授 (80281195)
島崎 優一 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (80335992)
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キーワード | 自己会合 / 分子認識 / キャビタンド / ポルフィリン / 低分子 / 水素結合 |
研究概要 |
表記課題の元に、本年度は次の2課題について研究を進めた。 (1)自己会合型カプセル状分子における分子認識:潜在的な触媒活性部位となるポルフィリンを配位子としてカプセルの一部に含め、キャビタンドと水素結合による自己会合型カプセルの合成、安定性、基質取り込み、識別などについて研究を進めた。自己会合型カプセルとするために4つの芳香環にカルボキシル基を持つキャビタンドを水素ドナーとし、それと対称性が一致したメソ-テトラ(2-ピリジル)ポルフィリンをアクセプターに用いた。ジクロロエタン中で両者は量比1:1、室温で安定な会合体を形成した。次いで、メタンからTHFまでの22種類の小有機分子の取り込みが達成でき、小アルカン分子については会合定数を^1H NMRにより決定した。自己集合体を安定化するために多数の水素結合を使い形成されていた従来のカプセル状分子と異なり、このカプセルは4つの水素結合のみで自己会合している。しかし、室温で安定なカプセルを形成し、NMRの時間スケール内で安定にゲスト取り込みが可能となったことは画期的である。 (2)フェノキシルラジカルを用いた有機反応:プロスタグランジン合成酵素に見られるように金属酵素においてはチロシルラジカルが水素引き抜きメディエーターとして働いている。このモデル化についてこれまでの研究を更に発展させ、反応点周辺の立体障害を減らして、鉄ポルフィリンの各面に一つずつビナルトール架橋を持つモデルを合成し、その過酸酸化により対応するナフトキシルラジカルを低温(-85°C)で発生させる事に成功し、円滑に1,4-ジエンと反応が進行させることに成功した。
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