研究課題
アセチレンケトンは生理活性化合物や種々の複素環化合物の合成中間体として有用な化合物であるが、アルキン類のカルボニル化による合成法についての研究報告例は多くはない。イオン液体中においてPdCl_2(PPh_3)_2存在下、芳香族ヨージドと末端アセチレンとの反応を、一酸化炭素の加圧下に行ったところ、対応するアセチレンケトンが、効率良く得られた。つづいて、本反応では脂肪族ハロゲン化物の適用は困難であることから原子移動型カルボニル化反応を検討した。PdCl_2(PPh_3)_2触媒を共存させた光照射条件での原子移動型カルボニル化系について種々の条件検討を行ったところ、期待した三成分カップリングが良好に進行する条件を見いだした。このように原子移動型カルボニル化反応は遷移金属種の共存系による効率化が達成されることから、広範なアルキルユニットのカルボニル化によるケトン合成への応用が可能となった。原子移動型カルボニル化反応はアシルラジカルへのヨウ素原子移動を鍵としている反応であるが、フェニルチオ基が移動するなら、チオールエステルが一気に合成できることとなる。フェニルベンゼンチオスルフォナートを用い、反応を実施したところ、高収率で期待したチオールエステルが合成できた。この反応では、アルキルラジカルのカルボニル化により生成するアシルラジカルがフェニルチオ基を引き抜き生成物を与えているが、この際に生成するベンゼンスルフォニルラジカルが基質のアリル末端に付加し、アルキルスルフォニルラジカルを脱離させ、さらに二酸化硫黄が連続的に脱離し、アルキルラジカルを与え、ラジカル連鎖反応で反応が進行する。第二級および三級の基質においてはより高い一酸化炭素圧を用いる必要があるが、良い収率で生成物を得ることが出来た。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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