研究課題/領域番号 |
16033261
|
研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
永瀬 茂 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 教授 (30134901)
|
研究分担者 |
小林 郁 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 助手 (30285093)
|
キーワード | 量子化学計算 / 高速並列計算 / 分子認識 / カテキン / 分子カプセル / カーボンナノチューブ / 分子設計 |
研究概要 |
(1)量子化学計算の高速並列法の開発:分子軌道計算や密度汎関数計算で、分子が巨大になると大きな計算負荷になる二電子積分計算と行列対角化の新しいアルゴリズムとプログラムコードを開発して高速化と高並列化を実現した。また、超分子、ゲストーホスト相互作用、分子認識、自己集合、生理活性で本質的に重要になるファンデルワールス力などの弱い相互作用を精度高く取り扱えるように、簡便に電子相関を取り込める分子軌道法の代表であるMP2(second-order Mφller Plesset perturbation)法によるエネルギー計算を、便宜的な近似方法を用いることなく、高速・高並列に実行できるアルゴリズムと実用的なプログラムを開発して、ナノサイズの分子系へも適用できるようにした。 (2)カテキンの分子認識:緑茶中に含まれる主成分であるカテキンの生理活性を明らかにするために、脂質二重膜のモデルとしてアセチルコリンブロミドを取り上げて、ガロイル基をもつカテキンがガロイル基をもたないカテキンより高い分子認識を示すのは、ガロイル基によって増強されるπ-カチオン相互作用によることを実験と共同して明らかにした。 (3)ヘテロダイマー分子カプセルとゲスト分子の立体配向:水素結合に基づくヘテロダイマー分子カプセルの内部空間の上下の空間的な広さと電子的環境の違いを利用することによって、ゲスト分子の立体配向が高度に制御されることを見いだした。 (4)カーボンナノチューブのドーピング:カーボンナノチューブの内部空間を電子供与性や電子受容性の異なる有機分子でp型あるいはn型にドープできることを理論的に明らかにした。
|