研究課題/領域番号 |
16033261
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
永瀬 茂 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 教授 (30134901)
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研究分担者 |
小林 郁 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 助手 (30285093)
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キーワード | 量子化学計算 / 高周期14族元素 / 三重結合 / 金属内包フラーレン / カーボンナノチューブ / 化学修飾 / ナノ構造 |
研究概要 |
(1)量子化学計算の高速化:超分子などで本質的に重要な役割をする非共有結合相互作用を精度高く取り扱えるMP2 (second-order Moller Plesset perturbation)計算の最高速の並列アルゴリズムとプログラムを開発した。並列加速率は、4CPUで4倍、8CPUで8倍、16CPUで15倍と高く、基底関数の数が1500を超える分子でも2時間前後で計算が実行できる。 (2)高周期14族元素の三重結合:最近の話題であるケイ素-ケイ素三重結合化合物の^<29>Si NMR化学シフトへの置換基効果を理論計算により系統的に明らかにした。理論予測した安定なゲルマニウム-ゲルマニウム三重結合化合物を実験と共同研究をして合成することにより、構造、結合、反応の特性を明らかにした。 (3)金属内包フラーレンとカーボンナノチューブ:金属内包フラーレンの表面を有機ケイ素化合物で化学修飾することにより、内包金属の動的挙動を制御できることを明らかにした。カーボンナノチューブの内部に電子供与性あるいは電子受容性の分子を取り込むことによりn型とp型にドープできることを理論計算で示した。また、カーボンナノチューブの表面をアミンなどで化学修飾することにより、金属性と半導体性のカーボンナノチューブを高収率で分離できることを理論計算と実験で明らかにした。 (4)チトクロムP450:生体内でアルカンをアルコールに酸化する過程で、活性部位のヘムに結合しているシステインが反応の活性化エネルギー低下に重要な役割をすると考えられているが、反応中間体が短寿命なために実験的検証が容易ではない。そこで、システインを様々なアミノ酸に置換すると、反応の様式がどのように変化するかを理論計算で明らかにした。
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