研究概要 |
医用画像から異常陰影を検出する医用画像認識の研究は様々な研究グループで行われている.例えば,胸部X線CT画像から肺がん陰影を自動検出する研究,X線写真から肺がん陰影を自動検出する研究,MRA画像における脳動脈瘤を検出する研究,マンモグラムにおける腫瘤陰影の検出などがある.これらの研究ではボトムアップの認識手法が主に採用されていることが多い.その認識手法は,まず異常の候補陰影をフィルタ処理などによって検出し,領域抽出し,特徴量を計測・解析し,正常か異常かを識別するというアプローチである.一方,トップダウンの認識手法を採用している手法もある.このアプローチは,まず解剖学的知識に基づいた仮説をたて,その仮説と画像とを照らし合わせ,演繹的に検証することによって,入力された画像が正常か異常かを認識する手法である.この手法で重要な役割りを果たすのが人体臓器構造を再現したモデルである.モデルは解剖学的知識を具象化し,照合のための基準として利用される.本研究では,トップダウンアプローチにおいて中心的な役割りを果たす人体臓器構造のモデルを構築する手法として,次の4つのモデリング手法: (1)肺結節・血管の3次元モデリング (2)固有画像による画像モデリング (3)肺血管配置モデリング (4)肺血気管径アトラスの構築 を開発した.さらにそれらの臓器モデルを胸部X線CT画像に応用し,肺癌病巣を認識する手法を開発した.
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