研究課題/領域番号 |
16037201
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 大 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30359541)
|
研究分担者 |
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50111307)
本間 佳哉 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00260448)
|
キーワード | 超ウラン化合物 / フラックス法 / ドハース・ファンアルフェン効果 / フェルミ面 |
研究概要 |
ネプツニウム(Np)を含む超ウラン化合物は、強い放射能をともなうために取り扱いが難しく、これまで物性研究の例はほとんどない。本研究では、まず原料となるNpO2から水溶液電解法によりNp金属を調製し、さらにフラックス法によりNp化合物の純良単結晶育成を行なった。充填スクッテルダイト化合物と同じ、立方晶のNpGe3をBiフラックスにより育成した。得られた単結晶は残留抵抗比が130のきわめて純良なものであり、これを用いてドハース・ファンアルフェン効果の測定を行なった。実験結果をバンド計算と比較することにより、フェルミ面は一つのバンドによって形成されていることが分かった。フェルミ面の形状は、<100>方向に伸びたアームを伴なう球状であり、さらに中心に中空の球状フェルミ面が存在する。フェルミ面は5f電子を遍歴としたバンド計算で完璧に説明される。5f遍歴電子モデルが超ウラン化合物に適用できる初めてのケースである。同じ結晶構造を持ち常磁性のUGe3はフェルミ面形状がすでに知られているが、NpGe3のフェルミ面はUGe3のフェルミ面から系統的に変化していることも分かった。サイクトロトロン有効質量は3~16m0と大きく、5f電子が遍歴して重い電子状態を形成していることが分かった。16m0の有効質量を伴うβブランチは、主に5fバンドの寄与が大きい。一方、3m0の有効質量を持つδブランチおよびλブランチはGeの4pバンドに起因することも分かった。 さらに、本研究では充填スクッテルダイト化合物UFe4P12の純良単結晶育成をネプツニウムの場合と同じ手法で行なった。グローブボックス内で安全に試料育成が出来る条件がこれで整った。得られたUFe4P12は、結晶面が現れた1.5mm角程度のもので、これまでに報告があるUFe4P12と同じ物性を示した。
|