研究課題/領域番号 |
16037202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
落合 明 東北大学, 極低温科学センター, 助教授 (90183772)
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研究分担者 |
青木 晴善 東北大学, 極低温科学センター, 教授 (60302246)
木村 憲彰 東北大学, 極低温科学センター, 助手 (30292311)
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キーワード | 希土類充填スクッテルダイト / 超伝導 / ラットリング / 比熱 / 混晶 |
研究概要 |
Pr(Ru_<1-x>Os_x)_4Sb_<12>は、一方の端にあるPrRu_4Sb_<12>が通常のBCS超伝導物質であるのに対して、他方の端のPrOs_4Sb_<12>は時間反転対称性が破れている等の新奇な超伝導物質であることから注目を集めており、その境界はx=0.4近傍にあると考えられている。昨年度、我々はその濃度を境に結晶場と電気抵抗の振舞いが大きく変化することを見出した。PrOs_4Sb_<12>の新奇な超伝導の起源としては、四重極揺らぎと共にSbの籠の中のPrイオンの振動(ラットリング)の重要性が指摘されており、本年度は比熱測定によりこのラットリングに焦点を当てた研究を行った。このため、磁気比熱の寄与のないLa(Ru_<1-x>Os_x)_4Sb_<12>の単結晶、及びSbの籠の中が空の非充填スクッテルダイトRhSb_3及びIrSb_3の単結晶を育成し、これらの物質とPr(Ru_<1-x>Os_x)_4Sb_<12>の室温までの比熱測定を行った。 La(Ru_<1-x>Os_x)_4Sb_<12>の比熱を差し引くことによって得られたPr(Ru_<1-x>Os_x)_4Sb_<12>の磁気比熱は、他の測定と同様にx=0.4近傍で異なる傾向を示す結果を得た。一方、ラットリングの比熱への寄与に関しては、La(Ru_<1-x>Os_x)_4Sb_<12>の比熱とRhSb_3或いはIrSb_3の比熱の差(ΔC)から見積もることを試みた。もし、Laの振動が周囲と独立であれば、過去に報告されているようなアインシュタインモデルで記述される比熱が期待される。しかし、得られたΔCは低温でT^3に比例しており、80K近傍では3Nk_Bを超えていた。これらのことは、Sbの籠の中のLaイオンは完全には独立して振動していないことを示している。一方、15K近傍にOs濃度と共に増強するΔCの肩構造を見出した。このことは、数十Kのエネルギー領域でLaイオンに関連する振動の状態密度が高くなっていることを示唆している。
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