研究概要 |
1.スクッテルダイト近藤絶縁体のエネルギー・ギャップ形成機構の解明(武藤・佐宗): 近藤絶縁体的なスクッテルダイト化合物の例として,CeRu_4Sb_<12>およびCeOs_4Sb_<12>に対し,播磨氏によるLDA+Uのバンド計算の結果を4fとSb_<12>のpによるHOMOを取り入れたtight-binding模型で表現することに成功し,近藤絶縁体的スクッテルダイト化合物のギャップの(擬)ギャップが通常の混成ギャップというよりは,価電子帯の上に4f状態が飛び出したものであることを解明した。 2.スクッテルダイト近藤絶縁体の光学伝導度の解析(武藤・佐宗): 1.の模型を用い,近藤絶縁体的スクッテルダイト化合物の光学伝導度を多体効果を取り入れて計算し,神戸大グループによる実験結果をかなりよく説明できることを示した。 3.近藤絶縁体YbB_<12>の光学伝導度(佐宗) 1,2の関連物質として,最も典型的な近藤絶縁体であるYbB_<12>について,やはり我々が構築したtight-binding模型を用いて光学伝導度の計算を行い,神戸大グループによる実験結果をかなりよく説明できる結果を得た。 4.異方的なギャップを持つ超伝導状態の解析(紺谷): 電子・格子相互作用と反強磁性揺らぎが共存したモデルにおける強結合エリアシュベルグ方程式を解析し、極端に異方的なギャップを持つ超伝導状態の再現に成功し,ポイントノード的超伝導が実現しているPrOs_4Sb_<12>との関連を調べた。 5.そのほか,磁場誘起反強磁性秩序の発生に関する研究(紺谷),および,重い電子系に対する一般的なKadowaki-Woods則の導出(紺谷)の成果を得た。
|