研究課題
PrOs_4Sb_<12>における時間反転対称性を破る異常な超伝導状態の直接的な証拠を得るため、微小ホール素子を用いた局所磁場測定と磁気光学イメージングによる観察を行った。提供されたサイコロ型のPrOs_4Sb_<12>単結晶の3つの独立な端面を研磨した後、微小ホール素子(有効面積:25x25mm^2)に直接マウントし、それぞれの方向に対し局所磁場ヒステリシスを測定した。その結果、ある特定の方向に磁場を印加した場合のみ、局所磁場ヒステリシスのB〜O G付近に際立ったディップ構造が観測された。PrOs_4Sb_<12>は、立方晶の対称性をもつため本来3つの方向で同一の応答が期待されるが、ディップ構造は温度サイクルによらず同一の方向に磁場を印加すると必ず観察された。このことは、超伝導転移温度以上で結晶の対称性が正方晶またはそれより低くなっていることを示唆する。また、このような一軸異方性は、最近のNMR測定でも確認されている。ディップの原因として、低磁場において試料中にカイラルドメインが存在しており、その境界にトラップされる磁束が何らかの影響をもつと解釈される。なお、同様のB〜O G付近の異常は、他のp波超伝導体UPt_3およびSr_2RuO_4においても観測されている。次にこの異常が空間的にどのように分布しているのかを見るために、低温における磁気光学法イメージングを行った。1.4Kにおいて初めてPrOs_4Sb_<12>における磁束侵入の様子を可視化することに成功した。今後、差像法を用い積算回数を増やすことにより磁場分解能を高め、カイラルドメインの存在を証明する予定である。一方、高精度磁気光学イメージングを行うためのインジケーター膜として、良質の磁性ガーネット膜を液相エピタクシー法により作製し、室温でインジケーターとして機能するものを得た。しかし、膜の均一性に問題があるため、膜質の更なる向上が必要である。
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