研究課題
1)充填スクッテルダイト化合物やクラスレート化合物は大きなカゴ状の構造の中に金属イオンを含んでおり、金属イオンの安定点は6つないし8つあると考えられている。このような系は「多準位近藤効果」を示すことが期待され伝導電子の状態も強く「くりこまれる」と考えられる。この問題を理論的に解明するため、充填スクッテルダイト化合物の超音波伝播の実験に対応する「4準位近藤モデル」を「数値くりこみ群」と「1ループの摂動的くりこみ群」の手法で研究し、新しいタイプの強結合固定点を見出した。その周りでは電子比熱の増大などの異常物性が現れる。この結果は2005年の1月に都立大学の佐藤グループにより発表されたSmOs_4Sb_<12>の磁場に鈍感な重い電子発現機構を与えている。また、九州工業大学の松平らにより2005年9月の日本物理学会分科会で発表されたLaOs_4P_<12>の低温で1/Tのように増大する比熱の説明を与えるものである。2)Prを含む充填スクッテルダイト化合物で現れる結晶場状態(Г_1-Г_4)での拡張(不純物)アンダーソンモデルを「数値くりこみ群」の手法で研究し、「局所非フェルミ液体固定点」の存在と「重い局所フェルミ液体固定点」の存在を見出した。また、結晶場の励起エネルギーが温度変化し降温とともに準位の逆転が生じることも可能であることを示した。この結果は結晶場の基底状態が1重項であっても比較的低い励起エネルギーをもつ結晶場3重項準位が存在すれば重い電子状態が実現可能であることを示している。また、磁場でPrFe_4P_<12>の4重極子秩序を壊したときに観測される非フェルミ液体的振る舞いと矛盾しない。
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J.Phys.Soc.Jpn.Suppl. Vol.75(印刷中)(Suppl.)
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