研究課題/領域番号 |
16037216
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研究機関 | 特殊法人日本原子力研究所 |
研究代表者 |
稲見 俊哉 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・重元素科学研究グループ, 副主任研究員 (30354989)
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研究分担者 |
石井 賢司 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・重元素科学研究グループ, 研究員 (40343933)
大和田 謙二 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・重元素科学研究グループ, 研究員 (60343935)
村上 洋一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60190899)
松村 武 東北大学, 大学研究センター, 助手 (00312546)
中尾 裕則 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70321536)
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キーワード | スクッテルダイト / 共鳴X線散乱 / 四重極秩序・軌道秩序 |
研究概要 |
平成16年度は、PrRu4Pl2、SmRu4P12について共鳴X線散乱の実験を行った。 PrRu4P12は、フェルミ面のネスティングと結晶格子の不安定性による電荷密度波的な金属絶縁体転移が63Kで起こる。それに伴い、低温では異なる結晶場状態にあるPrイオンが反強的な配列をすると中性子散乱実験などから提唱されており、この特異な結晶場状態の配列、および、その温度に対する発達過程を放射光を用いたPr-L3吸収端での共鳴X線散乱により研究した。その結果、金属絶縁体転移温度以下で現れる超格子反射に共鳴散乱の成分が存在しており、単位胞内の2つのPr原子は異なる電子状態にあることが明らかにできた。電気抵抗や比熱に異常が見られている40Kでは、共鳴X線散乱には異常は見られなかった。また、共鳴散乱スペクトルの形状が反射の指数により大きく異なっており、Prの散乱因子が異方性を持っている可能性がある。今後、超格子反射強度のアジマス角依存性の測定等を行い、散乱因子の対称性から結晶場状態との関連について検討を行いたいと考えている。一方、SmRu4Pl2は16.5Kでの金属絶縁体転移で四重極秩序を伴うという指摘がある。実験室のX線源を用いて四重極秩序に付随した格子ひずみの探索を行ったが、対称性の高い逆格子のライン上には超格子反射は観測されなかった。また、放射光を用いたSm-L3吸収端での共鳴X線散乱実験も行ったが、PrRu4P12と同じ変調ベクトルであるQ=(1,0,0)にも超格子反射は観測されなかった。今後は、他の逆格子点上に共鳴散乱の超格子反射がないか調べる予定である。
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