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2004 年度 実績報告書

分子性導体における特異な低次元電子状態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16038203
研究機関北海道大学

研究代表者

野村 一成  北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80128579)

研究分担者 市村 晃一  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50261277)
松永 悟明  北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10222308)
キーワードスピン密度波 / 超伝導 / トンネル顕微鏡 / 分子性導体
研究概要

電子相関の強さとバンド幅の比という観点から有機超伝導体の電子状態を明らかにすることを目的に、反強磁性絶縁相との境界に近い超伝導相に位置するκ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]BrにおいてSTM分光測定を行った。
この物質においては、部分重水素置換により電子相関の強さを細かく制御できることが知られているが、水素体κ-(BEDT-TTF-d[0,0])_2Cu[N(CN)_2]Brおよび部分重水素化したκ-(BEDT-TTF-d[2,2])_2Cu[N(CN)_2]Brに加え、さらに電子相関が強く反強磁性絶縁相との境界に近いκ-(BEDT-TTF-d[3,3])_2Cu[N(CN)_2]Brについて調べた。d[3,3]塩においても超伝導転移温度以下では明確な超伝導ギャップが観測され、トンネルスペクトルの形状からd[0,0]塩やd[2,2]塩と同様に超伝導ペアの対称性はd-波であることが明らかになった。得られたギャップパラメターと転移温度の比はd[0,0]塩、d[2,2]塩において得られたものよりも小さく、Mott転移境界近傍では電子相関の増加とともに必ずしも単調に増加するものではないことが示唆された。さらに、ゼロバイアスにおいてトンネルコンダクタンスが発散的に増加するゼロバイアス異常が観測された。この現象が2次元有機超伝導体において見出されたのは今回が初めてであるが、様々な実験からd-波ペアが示されてきたκ-(BEDT-TTF)_2Xにおいて超伝導ギャップにノードがあることのより直接的な証拠を与えるものである。電子相関及び2量体化の強さとギャップのノード方向との関係を明らかにすることが今後の課題である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Non-linear transport in the incommensurate SDW phase of (TMTTF)_2Br under pressure.2005

    • 著者名/発表者名
      K.Nomura et al.
    • 雑誌名

      Synthetic Metals (発表予定)

  • [雑誌論文] Scanning Tunneling Spectroscopy on κ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Br.2005

    • 著者名/発表者名
      K.Nomura et al.
    • 雑誌名

      Synthetic Metals (発表予定)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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