研究課題
本研究では、密度汎関数法にもとづく第一原理電子状態計算を精度良く行うことによって、興味深い圧力効果を示すβ'-(BEDT-TTF)_2ICl_2等の分子性固体に対して、超高圧下や一軸性圧力下の結晶構造(格子定数、内部座標)、バンド構造を理論的に再現、予測することを行う。本年度はまず、昨年度に得られたβ'-(BEDT-TTF)_2AuCl_2とβ'-(BEDT-TTF)_2ICl_2の電子状態に対する圧力効果の違いが何から生じているのかの解析を行った。また、第一原理計算で得られたAuCl_2塩の圧力下のバンド構造を再現するTight Bindingモデルを構築し、それに対してスピン揺らぎに基づく理論解析を行うことにより、AuCl_2塩ではICl_2塩とは異なり、超伝導状態が安定化されないことを示した。さらに、ICl_2塩に対しては、圧力下の構造に対して、スピンを考慮した第一原理計算を行うことにより、反強磁性状態が安定して得られること、また有限のバンドギャップが常圧下の構造に対しては得られるが、圧力をかけることによってギャップが減少し、8GPa程度で消失するという結果を得た。さらに、本年度はα-(BEDT-TTF)_2I_3の常圧下と一軸圧力下の構造と電子状態に対する詳細な第一原理計算を行った。一軸性圧縮による電子状態の変化はa軸圧縮とb軸圧縮で異なること、温度の違いによる格子の違いから生じる電子状態の差を明らかにすると共に、Dirac Coneと呼ばれる特異な電子状態の存在を第一原理計算から確認した。
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