研究課題
乱雑な原子配列を有する金属ガラスの変形挙動は、弾性変形領域、塑性変形領域のいずれにおいても結晶金属と著しく異なることが、知られている。その微視的なメカニズムについては、未解明の点が多い。当研究グループの目的は、金属ガラスの弾性変形領域において示す擬弾性や、塑性変形領域において、破断直前のシアーバンド生成の微視的なメカニズムを解明することである。研究の手法としては、金属ガラスに引張り変形を与えながらEXAFS(X-線吸収微細構造)を測定し、特定の原子周辺の原子配列の変化を直接観察する。巨視的な歪み量と各原子種間の距離の関係を定量的に把握することによって、金属ガラスのもつ擬弾性や破断直前のシアーバンド生成の微視的なメカニズムを解明する。当グループの年度毎の進展状況1)2004年度:支給された科学研究費補助金によって、金属ガラスの引張り変形時の原子配列変化をEXAFS法によって直接観測するための引張り装置を開発した。上記1)で作成した装置を用いてCu_<50>Zr_<50>金属ガラス(リボン状)を用いてZr原子周りのEXAFS測定を高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所で行った。2)2005年度:上記1)で作成した装置を用いてCu_<50>Zr_<50>金属ガラス(リボン状)を用いてCu原子周りのEXAFS測定を中国科学技術大学・放射光実験センターで行った。3)Ni_<30>Zr_<70>金属ガラス(リボン状)を用いてZr原子周りのEXAFS測定を高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所で行った。これまでの主な研究成果・Cu_<50>Zr_<50>金属ガラスの引張り変形量の増加に伴い、Cu-Zr原子間距離が増大し、Zr-Zr間距離が減少した。また、Cu-Zr原子間距離、Zr-Zr間距離いずれも、ある限度に達すると、歪みの少ない状態に戻り、そこからまた、Cu-Zr原子間距離が増大し、Zr-Zr間距離が減少した。このことは、現在コンピューターシミュレーションなどで行われている研究結果とも一致しており、重要な成果であると考えられる。・Ni_<30>Zr_<70>金属ガラス(リボン状)を用いて引張り変形時に、Zr原子周りのEXAFS測定を試行した結果、Cu_<50>Zr_<50>金属ガラスと同様の傾向を示すことが分かった。
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Proceedings of ISMANAM2005 (In Press)
Annual Report NSRL of University of Sci. & Tech. China (In Press)
Proceedings of THERMEC2006 (In Press)
日本金属学会講演概要(2006年春期) ISSN 1342-5730
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粉体粉末冶金協会講演概要集(2005年度春期)
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日本金属学会講演概要(2004年秋期) ISSN 1342-5730
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