研究課題/領域番号 |
16039207
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水林 博 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (40114136)
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研究分担者 |
谷本 久典 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (70222122)
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キーワード | 金属ガラス / 非晶質合金 / 局所構造 / 密度揺らぎ / 集団運動 / 水素内部摩擦 / 動的弾性率 / パルス通電 |
研究概要 |
非晶質構造は局所的構造とより大きなスケールでの構造からなっており、それらは本質的な意味での揺らぎに起因していると考えている。金属ガラスと従来型非晶質合金(非晶質合金)について、水素内部摩擦から局所構造の揺らぎに関する知見を追求し、動的弾性率の測定周波数依存性ならびにパルス通電結晶化からより大きなスケールでの構造揺らぎに関する知見を追求した。水素からみた局所構造は金属ガラスと非晶質合金とで似ており、共に奇妙な構造に見える。すなわち、水素拡散の活性化エネルギーが大きく異なる局所構造が共存しておりそれらが独立して観測されることは、活性化エネルギーが低い構造の中に活性化エネルギーの高い構造がケージ状に存在することを示唆している。構造の均一度が高いと考えられている金属ガラスにおいても観測されることは、このような構造は金属ガラス構造の本質であることを示唆する。動的弾性率の測定周波数依存性では、約1Hzから動的弾性率の低下が観測され始め、10kHzまでの間に、複数の極小が観測される。この動的弾性率の低下量、ならびに周波数依存性の概要は、金属ガラスと非晶質合金で似ていた。結晶化体積は、金属ガラスでは例えば0.3%程度で、非晶質合金では例えば1%程度であり、密度揺らぎの絶対値は異なっている筈である。このことは、ガラス転移温度での自由体積の点からは両者は似ていることを示唆する。パルス通電結晶化では、現象の詳細については、金属ガラスと非晶質合金で異なるが、パルス通電結晶化の概要は両者で似ていた。これらの結果は、密度揺らぎには階層性があり、その最小単位の構造は、水素内部摩擦から示唆されるものであること、金属ガラスと非晶質合金ではこれらの概要が全て共通しているごとを示唆している。
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