研究概要 |
ポテンシャルの標準規格化のため、現在提案されているポテンシャルの調査を行い、物理的な概念・関数形(例えば二体・三体・イオン・ボンドオーダー・電荷移動ポテンシャル)により分類した。結果、主たるポテンシャルとして、二体ポテンシャルと、EAM型の三体ポテンシャルが提案されていることがわかった。Ni, Al, Cu系を対象に提案されているポテンシャルを実際に使って分子動力学計算を行い、二体ポテンシャルと多体ポテンシャルの違いがアモルファス構造にどのような影響を及ぼすかを調べた。また、アモルファス金属を最適な温度で構造緩和を行い、構造を特性化する手法を提案した。結果、配位数及び角度分布は比較的良く似た傾向を示すが、(0,0,12,0)ボロノイ多面体の割合、さらにBCC構造の出現の有無などの違いが現れた。これらの違いは二体ポテンシャルの物性の再現性の低さによるものと考えられる。 また、Si-Hポテンシャル作成手法をベースに、ポテンシャル作成手法及びプログラムの開発を行なった。作成手法では、様々な結合長さ、結合角度、配位数に対応する冗長性のあるポテンシャルを作成するために、第一原理分子動力学法を使って、仮想的な系の結合距離・エネルギ・弾性定数を求め、信用のある実験データと組み合わせてポテンシャルの合わせこみデータとする。あわせこみ手法にはGA(Genetic Algorithm)を使う。GAで作成したポテンシャルが一つに定まらない場合は、さらに合わせこむデータを増やす。適当なポテンシャルが決まらない場合は、ポテンシャル関数形を見直し、拡張性の高い形に修正して、再度合わせこみを行なう。以上のようなあわせこみ手法を提案し、プログラムに実装した。
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